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君への5センチメートル【ハイキュー!!】

第2章 二度目の再会


「あら、美術部なんて素敵ね!」

米田先生はそう言って、キラキラと目を輝かせながら胸の前で両手を合わせる。

「まぁ、慣れるまで大変かもしれないけど、運動部には運動部の良さがあるわよ。続けていると選手に感情移入しちゃったりして、応援に力が入ったりね。きっとやり甲斐あるわよ、頑張って!」

米田先生がそう言ったところで、「もちろんです!」と、斜め向かいの武田先生が会話に加わる。その拍子に、手元に積まれていた参考書の山が派手に崩れてしまった。

「わっ、大丈夫ですか…!?」

「あぁぁ…すみません、つい熱が入ってしまって…」

あたふたとそれを拾い上げながら続ける。

「新しい一年生も入ってきますから、今年は彼らと全国に行きましょう、野村先生!」

「は、はいっ…!」

メラメラと燃える武田先生を見て、米田先生が吹き出した。

「あらあら、武田先生もずいぶん燃えてるわね。私も応援してますよ」

「ありがとうございます。それじゃあ、僕は坂ノ下商店に用があるので、失礼しますね」

そう言って武田先生はバタバタと荷物をまとめはじめる。

坂ノ下商店は、学校前の長い坂道を下ったところにある、いわば地元民のコンビニのようなお店だ。学校帰りの生徒達のたまり場でもあり、私も赴任してから二回お世話になっている。一度目はおかみさんが対応してくれたけど、二度目は金髪にピアスの背の高い男の人で、レジ前で黙ってタバコをぷかぷかふかしている近寄りがたい雰囲気の人だった。それ以来なんとなく坂ノ下商店の前を通るときは緊張してしまう。

武田先生を見送って、カレンダーを確認する。そういえば、バレー部には挨拶に行ったきり顔を出していない。武田先生は、仕事に慣れるまでは無理しなくてもいいと言ってくれたけど、新入部員のことも気になるし、気分転換に様子を見に行くことにした。

私はある程度明日の準備を済ませ、急いでデスクを片付けた。時間は午後6時50分。隣で熱心にノートをまとめている米田先生に会釈をして、私は体育館に向かった。
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