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君への5センチメートル【ハイキュー!!】

第11章 ふたりの距離


「特別な、ってどういう意味…」

「ふ、深い意味は無くてっ…私達昔からよく一緒にいたし、姉弟みたいって言う意味だったのかも…」

慌てて言い訳をするみなみさんの横で、
俺はぐっと拳を握りしめた。

…なんだよ、
ちゃんと知ってたんじゃないか、
俺の気持ち。


言うなら今しかない。


……清水、ごめん。
誰にも言わないつもりだったけど、
俺、みなみさんには正直でいたいんだ。

ゆっくりと息を吐いて、言う。

「……俺、合宿で清水に告白されたんだ。でも、断った」

「…っ」

みなみさんが小さく息を呑んだ。
間を空けずに、俺は切り出す。

「俺が好きなのは、みなみさんだから」

長い沈黙。
目の前のみなみさんは、
瞳を見開いたまま何も答えない。

たぶん、時間にしたらほんの数秒。
だけど俺にはその静寂が、
ものすごく永く思えた。

「どう、して…?」

ずっと身を固くしていたみなみさんが、
震える声を絞り出すようにして言った。

「え…?」

「どうして……私なの…?」

やっと声を上げたその目には、
今にも零れ落ちそうなほどの涙が
ゆらゆらと揺れていた。
その涙がひとすじ、
頬を伝って地面に落ちる。

沈黙の中、ぽたり、という音が
いやに大きく聞こえた。

「なっ…、なんで泣くんだよっ…!」

頭を思いっきり殴られたような衝撃を受けながら、俺はやっとの思いで言った。つばが喉に引っかかって、情けなく掠れた声しか出なかった。同時に、底なしの暗い穴に突き落とされたような失望と後悔に襲われる。

言わなけりゃ良かった。
これで、
今までの関係には戻れないんだ。

…でも、そんなこと考えたってもう遅い。

「だって…」

「ごめん、ホントッ…ゴメン…!今言ったこと、全部忘れてくれていいから…!嫌な思いさせたんなら謝る…!」

「ち、違うの…そうじゃなくて…」

小さくしゃくり上げながらみなみさんは言った。
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