第2章 二度目の再会
俺達は着替えを済ませ、体育館に向かう。すでに準備を始めていた清水がこちらに気付き、声をかけた。
「お疲れ」
「おう、お疲れー」
「潔子さん…!!今日も美しいッス…!!」
「…………」
「ガン無視興奮するッス…!」
「ははは、田中は懲りないよなぁ…」
もう何十回、もしかしたら百回以上聞いている清水と田中のこのやり取りも、不思議なことに聞き慣れると安心するんだよな。まぁ、当の清水は正直迷惑にしか思ってないかもしれないけど…。
各自ストレッチを始め、残りの部員が揃ったところで大地の声がかかった。
「集合ー!!」
皆が大地のもとに集まる。
大地の後ろには、新しい顧問の武田先生が立っていた。
「今学期から顧問の先生が変わるから、皆に挨拶があるそうだ。先生、宜しくお願いします」
大地に促されて、武田先生が一歩前に出る。
「えー、ゴホン…4月から新しくバレー部の顧問になりました、武田一鉄です。僕にはバレーの経験がないから専門的なアドバイスは出来ないけど、それ以外の所でみんなをサポートするつもりです。よろしくお願いします」
武田先生はそう言ってペコリと頭を下げた。真面目で優しそうな先生だ。そんな武田先生に、大地がそっと耳打ちする。
「そういえば、もう一人の先生は来られないんですか…?」
「来るはずなんだけど、少し遅れているのかなーーー」
先生がそう言いかけたところで体育館の扉が開き、慌ただしく誰かが入ってきた。
「すみません…!遅くなりましたっ…!!」
「あぁ、良かった!待っていましたよ」
「生徒の質問に答えていたら遅れてしまって…」
乱れた髪を整えながら入ってきたその人を見て、俺は思わず声に出してしまった。
「みなみさん…!?」
言ってから慌てて口を押さえたものの、全員の注目を集める事になってしまった。呼ばれた彼女も、目を丸くして俺を見つめた。武田先生がポカンとした顔で、俺と彼女を交互に見比べる。
「あれ…もしかしてお二人は知り合いですか?」
「あ、えぇ、はい…。」
今度は彼女が俺と武田先生を交互に見た。しどろもどろになりながら言い訳を探しているようだ。武田先生は「なるほど、そうでしたか」と、あまり気に留めない様子で話を進めた。