第8章 Coffee Breakをしよう②
「うーし、こういうのは1年からだ!んじゃあ影山から順番に、どの女子がいいか言ってこーぜ!」
西谷さんが王様に向かって雑誌を突き出す。王様は意外と素直にそれを受け取り、ペラペラと何枚かページをめくって指差した。
「コレですかね…」
雑誌には、女子の全身の写真と名前(ハンドルネームだろうけど)、年齢、身長や趣味、その他諸々の情報、簡単なコメントが記載してある。
ご丁寧にそのデータを声に出して解説していた田中さんが、突然声を上げた。
「んで、身長が…172センチ!?でけーな!」
「なんだ影山、お前長身女子が好みなのか!?」
すかさず食らいついた西谷さんに、王様は真面目な顔で淡々と答えた。
「…いや、バレーやってそうだし」
「は…?」
「短髪で背も高いし、日に焼けてない感じが室内球技っぽいし…。あと、ふくらはぎの細さに対して鍛えられた大腿二頭筋が…」
「お前っ…!こんな時までバレー基準なのかよ!!」
「えっ、そーゆー事じゃないんですか?」
「ちげーよッ!!」
「お、俺は…この子、かな…!!」
「なはははは!翔陽、そりゃアレだろ、自分よりできるだけ身長低い方がいいからだろ?」
「西谷さんがそれを言うんですか…?」
「んあ゛ぁん!?月島、今何つったコラ!!」
掴みかかられそうになるのを躱しながら、僕は雑誌を熱心に見つめる山口の隣へ移動した。
「お、俺はこの子かなぁ…」
「あぁ〜、分かる!なんか〈癒し系〉って感じだよなぁ!」
山口が柔らかく微笑む小柄な女の子を指差すと、そばにいた東峰さんも大きく頷いた。そこへ、打ち合わせを済ませた澤村さんがやって来る。