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shining ×world【HQ】

第3章 Ⅰ_突然は直ぐ眼の前に


及川が言葉を失っている間、シオルはじっくりと及川の身体を見回す。

「‥特に痛めているのは背中、ですね。‥他は脚、それと頬に少しの擦り傷‥恐らくあの少年の植物によるもの‥。出血は無いですね。あの、少し後ろを向いて貰えないですか?」

「‥‥‥‥」

シオルが的確に何かを言っているのは辛うじて理解出来たが、内容までは出来なかった。

声が聞こえる方に顔を向けると視界に入ったのは赤黒い液体だった。

「え、ちょっと!血出てるよ!?」

焦った様に声を出す及川に首を傾げる。

「?‥あの。今確認しましたけど、何処も出血はしてないです」

「いや俺じゃなくて君の事だからね?!もうさっきの何だったの??訳が解らないんだけど!てかチビちゃんもアレ人間じゃないでしょッ、それ以前に君みたいな可愛い子―――、」

「僕の事は良いので後ろを向いて下さい(‥チビちゃん?)」

及川の声を遮り早く行動に移す様に言うが、叶わなかった。

「ちょ、全然良くないデショ!君の方が重傷じゃん!!其れに此方は色々聞きたい事が山程‥、ってアレ?!俺今話せてるよね??声出てるよね!?―――ん?(この子‘僕’って言った??)」

一人でぶつぶつ何かを言ってると思ったら突然此方をじ~っと凝視してきたので、シオルは更に帽子を深く被り、息を吐いた。

「‥質問には答えますし、声も出ていますから、そろそろ後ろ向いて下さい(この反応‥やはり彼方側の人間では無さそうですね。‥巻き込まれた、と考えても大丈夫‥ですかね)」

「何か初対面なのに扱いが‥!と言うか何で後ろ?(‥え、え?この子、女の子だよね?さっきこの眼で見たし。俺が性別を間違えるなんて有り得ないし。‥じゃあ何で?)」

一気に色んな事が目の前で起こり過ぎて混乱してきた及川の頭から白い蒸気が上がった。

そんな様子を見たシオルはこれは何を言っても無駄だと思い、自分から及川の背後に立った。

「(失礼します)」

心の中で謝罪をし、及川の着ているジャージの裾を摘まみ捲り上げる。

「うっびゃぁァ?!!」

突然の事に可笑しな悲鳴を上げて逃げようとする及川にシオルは掴んでいた裾を思い切り引っ張る。

「ぐェ、」

首が締まり、また変な声を出す。

「‥スミマセン。でも、動かないで下さい。‥脚、余計に悪くなりますよ?」
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