第4章 *the third world
まるでスローモーションのように、ゆっくりと景色が流れていく。
発端は風船を持った少年。
誤って手放したそれを追い、道路へ出た。
それに気づいたのは私とチョロ松で…
ほとんど同時に駆け出していた。
やっぱり最初に着いたのは彼で、少年を抱きかかえた。
でも、回避までは間に合わなくて。
ほんの少し遅れて辿りついた私は思い切り強く彼の背中を突き飛ばした。
その反動でよろけた私が見たのは、大きなトラック。
劈くようなクラクションの音が響いている中、はっきりと聞こえる声。
「凛っ!!」
声の方を見て、手を伸ばす。
…しかしそれが彼に触れることは無かった。