第4章 *the third world
ゆっくりと流れた時間は、終われば一瞬の出来事で。
強い衝撃が走り、私の体は、次の瞬間には地に転がっていた。
酷い喧騒の中、ぼんやりと目を開ける。
…痛い…
見えたのは血だらけの左手。
私の、手?
感覚がなく、もう痛いとも感じなくなってきた。
その手には薬指に指輪がついていて、私の手だと理解する。
…チョロ松……ごめんね。
「凛っ!凛っ!!」
チョロ松の声がする。
そちらを向いてあげたいのに、体が言う事を聞かない。
「僕のせいだ…僕がっ!」
兄弟たちが何か言っているようだけど、不思議と彼の声しか聞こえない。
…お願い、彼を支えてあげて。
「凛っ…お願い、返事して…」
ごめんね、ごめんね……
あー…プロポーズ、嬉しかったなぁ…
でも、私、きっと死んじゃうんだろうな…
「逝かないで…!僕と結婚してくれるんでしょっ……」
ごめん……大好きだよ…チョロ松。