第4章 *the third world
そうするとやっとチョロ松はこちらの世界に戻ってこれたようだ。
「…ぁ、あ、う、うん!言うよ」
邪魔者たちは、もう先に行かせたし、仮に戻って来ていてももう邪魔はしない(できない)だろう。
「…僕と、結婚してください」
はにかんで笑うチョロ松にこちらもつられて微笑む。
「…はい」
そう言うと指輪が私の指にはめられた。
もちろん、左手の薬指に。
「…よかった、サイズあってた…」
ゆっくりと離れていく彼と、山から漏れでる夕日が反射して輝く指輪。
不意に目頭が熱くなる。
「…凛?」
「…大好き、チョロ松」
零れる涙を拭い、どうにか言葉を絞り出す。
「僕も…」
思い出の場所。
優しいキス。
ああ、なんていい思い出。