第4章 *the third world
「あらあら、いらっしゃい」
「おばさん!チョロ松いる?」
「上にいると思うわよ」
「了解!ありがとう!」
出迎えてくれたおばさんにお礼を言って、バタバタと騒がしく階段を駆け上る。
大体のあたりをつけて襖を勢いよく開くとお目当ての人物が驚いたように振り返った。
「おわっ?!ぇ…凛!? いきなりど──」
「おめでとうっ!!」
「ぇ、ちょ、まっ…うわっ」
制止の言葉を無視して階段からの勢いのまま飛びつく。
と、突然に加えられた負荷に耐えきれず立ち上がった彼はその場に尻餅をついた。
「いてて…」
「チョロ松!就職!決まったって…」
彼の負傷も無視を決め込んで本題を取り出す。
「あ、あぁ。うん」
いつものようなへの字口ではなく、口角を上げて、彼は微笑んだ。
「まぁ、普通の事務職だけど…」
どんな職種だろうと仕事は仕事だ。
「それでも!おめでとう!」
「…うん、ありがとう。凛」
少し涙ぐむ私に、彼はまたへの字口になった。