第2章 bad end *the opening
トントン と足音を立てながら階段を上る。
わざわざ音を立てて歩いたのは、そうでもしなければ私がこの静寂に飲まれそうだったからなのかもしれない。
いつもの部屋、半開きの襖を覗くと横になっている黄色いパーカー姿の人がいた。
「十四松くん? 寝ちゃってるの?」
スッと襖を開けて近づけば規則正しい寝息が聞こえた。
その音に少し安心する。
寝ちゃってたのか…じゃあ、仕方ないね。
ここで起こすのも可哀想なので何か掛けるものがないかと近くを探す。
……いや、何かおかしい。
今までこんなことなかった。
私はいつもここに向かう時は事前に出発する旨を何かしらの方法で十四松くんに言ってきた。
だから今日もメッセージアプリで言ったし、それに対しての返信もあった。
今までで、私が来てから寝ちゃったことはあったけど、私が来たとき寝ていたことはなかったのだ。
「…何か、あったの…?」