第2章 bad end *the opening
日曜日。
約束どうり私は松野家を訪れていた。
いつもの如く玄関をなんの躊躇いもなく開ける。
「お邪魔しまーす」
そしていつものように…って、あれ?
いつも私が声をかけると十四松くんが上から降りてきてくれるのだが、気づかなかったのだろうか。
「十四松くん?」
…まあ、そういう時もあるよね。
いつものあのお出迎えが密かな楽しみでもあったのに、少し残念。
玄関を1人あがる。
静かだなぁ……
え………静か?
そうして気づく。松野家が異常なまでに静かだと。
2階に上がる前にリビングを覗くと、またしても静かな空間が広がる。
パタ とシンクに水滴が落ちる音が響く。
通い慣れた松野家が異様なまでの静けさに包まえていた。