• テキストサイズ

【イケメン戦国】紫陽花物語

第17章 温泉旅行へ*2日目午後編*



「こんな所でいつまでもじゃれ合っている暇はない」



信長は山道を進み出す。自分からちょっかいを出し始めたくせに、と思う桜だが、口には出さない。

信長は桜の歩調に合わせて歩き、足元の悪い所では手を引いた。余計な言葉こそないものの、絶えず桜に気を配るその所作に胸がときめく。


我ながら現金だ…。



「桜、少し休め」

「はい。ありがとうございます」



大きく平らな岩を選んで、二人で腰を下ろす。水を入れた竹水筒を渡してくれる信長に礼を言って、ありがたく喉を潤した。



「上まで登るんですか?」

「そうだ。途中、少し寄り道するがな」

「寄り道…?」



首を傾げる桜に、信長は笑って答えない。着いてからのお楽しみ、ということだろう。



「あの…荷物、重くはありませんか?」



今更だけど、と思いながらも、桜は信長の持つ荷物を指す。何が入っているのか分からないけれど、持たせてしまっていいのだろうか。



「こんなもの、重さの内に入らん」



信長は荷物を一目見てから、それより、と桜を見る。



「貴様は、自分の身をしっかりと運べ」

「はい。…頑張ります」



力強い返事に、信長は口元を緩めて、良し、と頷いた。

/ 399ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp