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第28章 少女のいる世界


足に力が入らなくなって、その場に膝から崩れ落ちる。
すると、無愛想だった電話の声は消えてしまって、すぐさま寝室の扉が開かれた。

「蝶!!!?今の音、なに…が……」

『…ぁ…盗み聞き、するつもり…じゃ……』

「…いいよ、聞かれて困るようなことねえし」

穏やかな声色で言った彼のその言葉に、疑問が浮かぶ。

『………私と、いないと殺されちゃうの?…だから中也さん、私と一緒にいてくれるの??』

「は?お前何言ってんだよ、んなこと…ああ、まあなかった話にしたら嘘にはなるけど」

『…だから、記憶がなくても別に…構わない、の……?』

「え…、蝶…?」

誰かに殺されてしまうかもしれない。
私といなきゃ、殺される。

だから、私といられさえすれば…

考えれば考えるほどに頭の中がいっぱいになっていく。
あれ、どうしよう…私、やっと自分の居場所、見つけて……見つけて…?

『あ、…の…誰、ですか…?……殺さないでって、私がお願いしに行きます、から…そんな、中也さんが無理しないで…ッ』

「?…!?いや、待て蝶!!お前それ、まさか勘違いしてるんじゃ」

『私の記憶、ないのに面倒なんて頼めません!!こんな状況になってまで一緒にいなくちゃ殺すだなんて、どこの誰が相手でもそんなのおかし「おかしくねえよ!!!!」ッ、い…?…え……、?どう、して…え?だっ、て…中也さん、殺されるから一緒にいるんじゃ…』

「……そんなことあるわけないだろ、本気で次またんなこと考えやがったら怒んぞ?ったく、…俺がいたいと思わないような奴と一緒に生活出来るような人間に見えるか?なぁ?」

迷わず縦に頷くと、お前マジか…、と盛大に項垂れられる。

「俺は、傍にいたい奴の所にしかいかねえし…傍にいたいのなんてお前くらいしかこの世に存在してねえんだよ。よォく覚えとけ」

とりあえず髪を乾かそうら話はその後。
そう言って、彼は私の体を軽々と横抱きにして持ち上げる。

しかし、急に高くなった視界に思わずビクついて彼にしがみついて…そこでようやく、今の状況を整理した。

お互いに。

『…ッ、…!!!?ちょ、…っ、え、は…へ…!!!?ち、ちちちち中也さん何して…っ、重いから!!!下ろして!!!!!』

「おまっ、…ズボン置いてあっただろ!!?またそんな格好し、て…」

目を合わせて、無言になった。
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