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第28章 少女のいる世界


「それは…何に対しての、ごめんなさい?」

『……おかしな人だって思っちゃった。…貴方は私の事、知ってるのに…それを忘れて、私酷いこと…!』

「そんなことなら謝らなくていいぞ?実際俺は頭おかしい奴らしいし…記憶がある頃のお前からもそう言われ続けてた」

『…私本当にそんな人と結婚を?』

「お前の酷いの基準はなんなんだよ、おい」

単純に、疑問だった。
胸が高鳴るのは、きっとこの人と積み重ねてきた時間が確かにあったからで…しかし、私は今思ってしまう。

どうして、私はこの人に惹かれたの?
どうして私は、結婚だなんて大切なことを…

はっきり言って、理解ができない。
全くもって、惹かれる印象がわかないのに。

確かに綺麗だとも思うし、惹き込まれそうになりもする。
しかし、それが全て私の記憶が影響してのことだとしたら?

私は、この人の何に執着したのだろう。
どうして…?

「まあ、結婚がどうこうって話は今は受け入れようとしなくていい。ただ、暫くどこで寝泊まりしたいかはすぐに決めてもらうぞ?お前の家にはもれなく俺との共同生活がついてくるわけだし」

『私、本当に男の人と…?』

「…抵抗があって当たり前だ。それならそれで、組織の信頼出来る女構成員にあたればいいし…なんなら組織の執務室を貸し出すことも可能だし」

抵抗があって、当たり前。
当然のようにして言い切った彼の目は、本当に素直な眼差しで。

…この人、本当に私が嫌がりそうなことはしないんだ。
普通なら、元の生活にと提案したっておかしくないものを。

『……私に、家があるの?』

「ある」

『…独りじゃ、なかったの?……記憶、無くて…家族って言う人、誰も私のところに来なかったの。私、家族って思い浮かべても……』

言葉に詰まった。
イメージしか、私の中にそれはなかった。

そして、それがあるのが当然だと、どうしても思えない自分がいる。
…ああ、そういうことか。

『……私、家族っていなかったのかな』

「お前頭いいのに馬鹿だよな?今俺が言ってた言葉、忘れた?お前は俺の嫁で、俺はお前の旦那。いいか?夫婦って、そりゃつまり同じ家で生活してる家族だろうが」

『え、…?そう、なの…?』

「違うのか?…じゃあ言い方を変えよう、お前のことを家族だと思ってる人間なら、今お前の目の前にいる。お前には、家族も家もあるんだよ」
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