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第22章 云いたかったこと


「今日は悪かったな、結局半日寝て過ごすことになっちまったし」

『!…何で…?今日、ずっと中也さんと一緒にいられたのに』

「何でって…いや、本来ならもっと楽しませてやれ『蝶、こんなに楽しい日…数える程しか記憶にないです』!!」

クリスマスプレゼントなんてもらったのだって…いつぶりだ。
今まで、こんなにも深くまで接してきた人だって、出逢ってきた人の割にはほんとに少なかったはずなのに。

私の…私だけのために、こんなに尽くしてくれるような人。

『クリスマス…なんて、どこか遠い次元のものだって、思ってて…』

ずっとそうだった。
私によくしてくれた人達も…結局は、私の他に家族がいて。
もっと、深い繋がりの人達がいて…私なんかがそこに踏み込んでいいはずがなくて。

『…こ、こんなのと二人で…こんな日に、どこか行こうとか…何かプレゼントしよう、とか…そういうの……』

知らない世界に来てから、こんなこと。

「……こんなのとか言うんじゃねえよ、俺の大事な宝物が」

『…?宝、物…?』

私の顔を上に向けさせ、上から覗き込んできた中也さん。
そんな彼の表情はどこかいたたまれなさそうで…どこか、苦しそうなもので。

「お前の気持ちは…分からないでも、ない。勿論、それが何百年も続いてきたような人間じゃあねえし…同じだなんてこと口が裂けても言えねえけど」

____俺も初めてだよ、こんなクリスマスは

零された言葉に目を見開いた。

「知ってんだろ?俺の事…お前程辛かったわけじゃあねえだろうけど、それでもこんなに嬉しくなるような日が来るなんて思ってもみなかったんだよ」

『…私、中也さんに良くしてもらってるだけなのに…?嬉しい…って…何もできてない、のに…?』

「いてくれるだけでも幸せすぎることなんだよ…一緒にいて、過ごしてくれるだけでも」

ここまで言ってくれるなんて。
他の誰でもない貴方から、そんな事を言ってもらえるなんて。

『……中也さん、って…お母さん、みたい…』

「お前なぁ…俺は一応男で…?…お、おい…蝶!?」

なんでなんだろう。
なんで、こんな貴方なのに…どうして、もっと早くに出逢えなかったのだろう。

どうして私は…こんな悪いことばかりを考えてしまうのだろう。

なんで私の家族…否、血縁者があの人達だったんだ、なんて。
この人だったら良かったのに、なんて…
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