第22章 云いたかったこと
『あ、あの中也さん…その……』
「もう少しだからじっとしてろ…っと…できた」
『…な、なんでこんなことを…?』
ポートマフィアの拠点…中也さんの執務室に連れていかれたかと思えば、姿見の前に椅子を置いてそこに座らされ、何かと思えば髪を言われ始めて数分。
耳より高い位置で二つにまとめられた髪。
「似合うだろうなと思って…蝶の髪を束ねて動き回っても切れねえようなゴムを作ってもらった」
『に、似合…ッ』
「明日また別のも試すか…」
『し、しししかもわざわざ作ってもらったって、そんなこ「あとこれ、お前用の銃。特注品で、お前が自分でいくらでもいじれるようにされてる」!!?銃!!!』
心の底から食いついた。
見れば、今の私には少し大きな片手銃…速射性も然り、弾速も然り、威力も…中々に良さそうな。
それに、ここから更に自分で改造できるだなんて。
「あまりにも蝶が好きそうだったもんでな…広津さんや研究チームと相談しながら作ってもらったんだ」
『銃…や、やった…!!これで二丁になる…♡』
「え?…二丁?」
『!!ほ、ほら、今貸し出してもらってる分だと一丁だけだったのでまだしっくりこなくて…私元々、“二丁銃の戦闘スタイル”なんですよ』
少し照れくさく笑いながらそう言うと、何故だか中也さんがピシッと固まる。
「…に、二丁…そうか………二丁使う時って、両方の銃の性質が違ってる方が使いやすいのか…?」
『?人にもよるかと…でもこの銃なら好きなようにいじれそうですし、能力使えばその場でどうとでも性能の幅ができそうで…いいですよね!!本当にありがとうございます!!』
「……おう…………じゃ、じゃあ蝶…銃のことは置いておくとして…お前、酒はいける口か?」
『お酒…最近飲んでないから何とも……何、とも…』
どうした?と言う中也さんに、何でもないですと言い返す。
言えるわけがない、こんな質問…一緒に飲もうって言われてるようなものじゃない。
知らなかった、中也さんお酒好きなんだ…私酒癖弱いって言われたような記憶あるし、どうしたものか。
「そうか…なら……その年の人間に言うのはかなり抵抗があるんだが……バーにでも行かねえか?」
『ち、中也さんの行きたいところ…ですか?』
「行きたいところ…そう、だな。ちょくちょく行くところだ…美味いんだよ、穴場だし」