第22章 云いたかったこと
「んで?蝶、サンタに手紙…何頼んでるんだ?」
『!!?さ、ささサンタさんに書くお手紙は他の人に見せちゃいけないのよ!?』
「なわけあるかよ…誰に教えられたんだ?それ」
家に着いてからご飯ができあがるまでの間、小さい頃に教えられた通りに手紙を書く。
それを横から声をかけられて、わかりやすく動揺した。
『そ、っ…それはき……ッ、わ、私の…し、知り合い』
「知り合い?…へえ、いい知り合いだったんだな、そいつは」
『!…どうして?』
「そりゃ、お前にクリスマスをちゃんと過ごさせてくれてた奴だからだよ…ちなみに、横浜のサンタはめちゃくちゃ強ぇらしいぞ。姐さんにそう聞かされたことがある」
異能力持ちだっけ…それをサンタさんの仕事に活かしてるだなんて。
『……!お、お手紙絶対見ちゃダメだからね!?絶対だからね!!?』
「見ねえよ、サンタ宛てだろ?それ…んで、蝶さん?俺には何もプレゼント、強請らねえの?」
『中也さん、蝶にプレゼントしすぎだからダメです!!』
「言うと思った」
ほら、出来たぞ
そう言われて出てくる、以前とは比べ物にならないくらいに美味しそうに仕上がるご飯。
「そーいや、なんでクリスマスの前日に手紙書くんだ?サンタが読むのか?それ」
『!サンタさん忙しいから、準備するのも大変なんだって…先に知っておきたいものらしいよ』
「…なるほど。じゃ、早く書いてやらねえとな…大丈夫だぞ、横浜のサンタは最強なんだ。国の一つでも持ってきてくれる」
国って、そんな大袈裟な。
…いや、でも異能力持ちならそれも有り得る…?
だとしたら何者なのサンタクロース…
「そうだ蝶、明日は何が食べたい?」
『あ、明日?私は中也さんのご飯が一番い「そーいうんじゃなくて…クリスマスだぞ?クリスマス。好きなもん強請れっつってんの」す、好きなものって言われても…中也さんの…』
「…俺の作る何が食べたい?」
『あ…え……と…』
言ってもいいのか分からずにちらちらと見ると、寧ろ微笑ましそうに笑われる。
それに意を決して小さく声にして振り絞る。
『じゃ…あ、その……中也さん、が作った……ケーキ、食べたい…です』
「…ケーキ?……分かった、ケーキな?けど俺一人じゃそんなに量作れねえから、おばさんのとこからもいくつか買ってくるぞ?」
『!!中也さんのケーキ…♡』