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第22章 云いたかったこと


日が沈みかける頃。
一人で街に出たのはいい…きらびやかな街並みに、人だっていっぱい歩いてる。

そういえば、一人でここをこんな風に歩き回るのは初めてだ。

目に付く人達は色んな表情をしていて…

嫌でも目に付いてしまうのが、親子連れ。
…私も、あんな風に堂々と隣にいられたらいいのに。

____私達には、血縁関係なんてものが無いから。

あんな風に、手…繋いでたのかな、なんて。
何も気にせず甘えられたらいいのに…私は、そうするにはいくらか生き長らえすぎた。

『…』

特に何かをするなんてこと、望んでない。
何かをしてもらうなんて、大層なことは望まない…けど、私が一番欲しいのは…

ただ、一緒にいてほしいだけで

「!お嬢ちゃん、こんな時間に一人かい?迷子?」

『?…ううん、今から帰るところ』

「そっか、それならもう暗くなるし、お兄さん達がついていってあげるよ」

…いや、明らかに胡散臭いんですが。
男三人でこの年齢の女の子に絡みに来るとか。

『…家の人、いるか…ら…っ』

腕を掴まれたところで、逃げればよかったと後悔した。
能力なんか、こんな人混みの中で使いたくない…色んな人が見てる前で
____中也さんのいないところで

「いいからいいから、危ないだろう?こんな時間に一人じゃあ」

『や…ッ、離して…!』

「離してとは人聞きの悪い…俺らは親切で言ってやってるんだぞ?」

『や、だ…嫌だッ…』

また叫んでやろうとも思った。
けれど、振り上げられた手が今日のあの人と重なって。

「…そう、いい子だ…大人しくするんだぞ。…じゃあ、俺らと一緒にいこう」

『…っ、ぃ、や…』

「悪いようにはしねえさ、ただちょっとお手伝いしてもらうだけだ」

今、厄介な奴らに追われてるからよ。

漏らされた声。
それに反応したのは、私でも他の男達でもなく、よく知った声。

聞きたかった声…会いたかった声。

「厄介な奴ら…それ、もしかして俺らのことか?なァ?」

「「「!!?いつの間に…ッ」」」

「手前ら…武器の横領までに留めておきゃ命くらいは助けてやれたかもしれねえのに……そいつの手ェ離せ」

「!!…い、っ、良いのか!?そんな態度で…!」

頭に当てられた銃口。
また、死んじゃう…?
頭撃たれて、死んじゃうの…それで、また死ねないの…?

『…ちゅ…う、やさ…ッ』
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