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第22章 云いたかったこと


何が起こったのか、分からなかった。
森さんと、いつの間にか起き上がってきていた太宰さんが、興奮した様子の中也さんの体をおさえていて。

何?
なんで、こんなに痛いの…?

なんで…あんなに……私の大好きなはずの中也さんの手まで、赤くなってるの…?

『な…、んで…っ…?』

「それ以上言ってみろ…ッ、誰が言ったんな事!?誰がそんなこと考えろっつった!!?俺が一言でも言ったか!?頼んだか!!?なあ!!!」

「落ち着いて中也君っ…!」

『い、言わなくったって…っ、見たでしょう…?私の足…すぐに治っちゃったの…ッ、全然、中也さんの時と違ってたでしょ…っ?』

「それがどうした!!?あんだけ痛がってたくせして今更何でそんなことを『今更、って何…?そんな、ことって…っ』そんなことだろ!?ただの体質だ、異能の一部みてえなもんだ!!それをどうして____」

『わ、たし…っ、じゃあ…何なの…っ?……ち、よって…何ッ?悪い、事しかしてない…子は…いらない、?…嫌、になっちゃった…?』

中也さんの手に叩かれた。
あんなに優しくて温かい手が。

あんなに優しいあの人の目が。

ああ、私…中也さんにまで殺気向けられるようになっちゃった。

いい子にしてなかったから…中也さんの思うようにしてなかったから。
どこで間違えた?
なんでこうなった??

なんで、あんなに優しい中也さんがこんなに私を怒っている…?

「!?蝶ちゃん、それは違っ…」

『…ごめん、なさい…っ、も、…う…“私”…中也さ、んに……会、いませ…ん……から…ッ…』

怒らないで…そんな目で、見ないで。
いい子にしてるから。

もう迷惑もかけないから。

「待っ…!!!」

『…ッ、ク……っ、……ぁ…』

扉を使って出てきたところで、気がついた。
どうしよう…行く宛、無いや。

中也さんに会っちゃいけないし…これ以上悪い子にもなっちゃ、いけないし。

…違うの、ただ中也さんの事が大好きだっただけなの。

離れたくなかった、それだけなの。

いなくなってほしくなかっただけなの。

____必死だった、ただそれだけで。

他に何も知らないんだもの…信じられるのが自分の力だけで。
ただいい子でいたかっただけなのに…ただ、貴方にずっと、また撫でていて欲しかっただけなのに。

「…おや、君は?」

出会ったのは、いつかの男の子。
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