第22章 云いたかったこと
何故だろうか、合理的な手法を取ったはずなのに…皆固まって、笑いもしない。
「蝶…?じゃあお前、自分の身体に…銃弾を…?」
『焦っちゃってて…あんまり処置が遅くなって中也さんの容態が悪くなっちゃ「じゃあ、お前はどうなんだよ…」…中也、さん…?』
「…お前……そんなことしなくても、死ぬような傷じゃなかっただろ!?森さんに手術してもらえば十分治るような!!」
『…で、も……』
頭から手が離れたかと思えば、動揺したように放たれる言葉の嵐。
なんで?なんでそんなに焦ってるの?
「なんでそんな方法で…っ」
『なんで、って…だって、中也さんが撃たれたの、は…私の「お前のせいじゃないだろあれは!?俺が弱かっただけだろ!?」中也さんは弱くなんかない…ッ!!』
「っ!?…っ、じゃあ尚更だ!!同情してるわけでもねえなら、なんでそんな事をした!?なんで自分の体をもっと大事にしないんだお前は!!?」
『なんで、って…っ、そんな…私、は…っ』
「ちょっと、ストップストップ!!二人とも落ち着いて!ね??」
自分の体を大事に?
なんで大事になんてするの?
分からない…だって、死ぬわけじゃないんだもの。
ちゃんとこうして、生きてるもの。
約束破ってないじゃない…私、ちゃんと生きてるじゃない。
『い、いじゃない…ですか…っ、わ、たし…ちゃんと生きてるのに、なんで…!?』
「なんではこっちの台詞だ…っ、結果的に生きてるかもしれねえけど、そうじゃないだろ!?怖がりなくせして…それでお前が死んでたらどうするんだよ!!?」
言われた言葉に、何かが突発的にこみ上げてきた。
昨日、確か同じことを言ったな…そういえば。
なんて思った頃にはもう全部が声になっていて…全て中也さんに伝わっていて。
『死んでたら、って…ッ…私、そんなのじゃ死なない…死ねない!!なんでそんなこと言われなくちゃならないの!!?』
「は…?…おい、蝶、お前何をそんなに感情的になって…」
『私、は…いいじゃない!こんな怪我じゃどうせ死なないの!!…っ、中也さんとは違うの!!!私は!!ッ、中也さん達と違って私はただの化け____…ッ…?』
「な…ッ、!?」
感じた殺気。
私の見たことのないような、鋭くこちらに向けられる目。
そして、久しぶりに感じた…頬の痛み。
「手前…もう一度言ってみろ…っ!!」