第22章 云いたかったこと
翌日。
いざ本人を隣にすると結局うまく寝付けなくて、中也さんの心臓の音を確認してばかりで寝られなかった。
朝になって彼が目を覚ますようなことはなく、結局は中也さんの分のお仕事を勝手にすませて、空いた時間は医務室にいて。
それの繰り返し。
「蝶ちゃん、お昼食べない?今日は私がデザートにショートケーキを買ってきたのだけれど…」
『…中也さんと一緒に、食べる』
「……心配しなくても、どうせすぐに起きてきて私に文句の一つでも垂れてくるさ。今に見てなよ?パッと起き上がって「うるっせぇぞこンの青鯖野郎がぁああ!!!」ごふ、ッ!!!」
「何を人が寝てる隣でごちゃごちゃ…と……ッ?」
本当に、パッと起き上がってきた。
そんな中也さんに殴り飛ばされた太宰さんは伸びていて、中也さんの声に反応してか森さんがこちらに駆けつけてくる。
「中也君!?目が覚めたのかい!!?」
「森さん…!は、はい…俺、確か任務中に撃たれ……ッ?……あの、森さん…俺、撃たれてましたよね?…どこも痛く…ないんですが…」
「あ、ああ…それなら、昨日君に処置をしたのが蝶ちゃんで「蝶!!!あのあと無事だったのか!!?怪我は…まだどこか痛いところは!!?」あ、あの〜…中也君?」
とられた両手にチクチクと胸が痛くなる。
私は心配されていいような奴じゃないの…
『い、や…あの…っ』
「!そうだ、中也君を撃った相手から逃げてきたのかい?」
『!!……ご、めんなさい……わ、私…その…』
殺しちゃって…
口にしたら、怒られると思った。
だから目を合わせられなかったのに、中也さんは私の頭に柔らかく手を置く。
「お前…あんな奴相手に……怖かったろ。…無事で良かった…本当に…ッ」
なのに怒られなかった。
『わ、たし…約束破ったのに…?』
「馬鹿、お前が無事なこと以上に大事なことがあるか…ごめん、俺が不甲斐なかったばっかりに…」
「…蝶ちゃん、昨日…中原君の傷、どうやって治したの?君に治癒能力があるとは聞いていなくて…」
『!…治癒能力、じゃないんですけど……私の身体の状態と、入れ替えただけです』
森さんの問いに答えると、何故だかみんな目を丸くする。
「…え…、と……と、いうと?」
『?…だから、傷を全部私に移し替えて……そうすればすぐに傷が治るから、中也さんも痛くなるなる…でしょう…?』