第22章 云いたかったこと
『何、言ってるの…っ?私がヘマしなかったら、中也さんは…』
「中原では対処はできなかった…まだ経験だって浅い方なんだ。それに、異能の相性もやはりある」
『お、織田作?なんで、それが私の「織田作?」…ッ、?』
ズイ、と顔を寄せる織田作にビクリとすれば、彼は目を見つめながら私に言う。
「…まずは落ち着くところから始めないとな。…ちゃんと名前で呼んでみろ」
『……!…な、なんで今名ま「いいから…二人でいるんだ、水くさいことしなくていいだろ」…作…之介』
「そう、いい子だ…覚えてるじゃないか、ちゃんと……ほら、次はちゃんと紅茶も飲め。ここに来たからには家主の言う通りにしてもらうぞ」
『…今は気分じゃないって……「折角用意したんだがな…そうか、口にしてもらえないか…」!……っ、し、かたない…か、ら…』
そうだ、よくよく考えたら…わざわざ家に入れてもらっている上に、親切でしてくれているのに。
作ったものを拒絶されるのは、辛いことだって知ってるはずなのに。
恐る恐るカップをとって、いい具合に冷まされた紅茶を一口飲む。
じんわり温かくなってきて、考えてることが全部こぼれてしまいそうになって。
『……も、…やだ…っ、……中也さ、んが痛いの…っ…い、や…ッ、……血…嫌いっ…!!』
「…怖かったな」
『!!…っ、…ぅ……ぁ…ッ』
そういう事言うから泣きそうになるのに。
私は悪い子だから、泣く資格なんか持ってないのに。
「……ほら、飯もちゃんと食べろ…ただでさえ力が足りてないと思ってるんだろ?それなら…ちゃんと食べて、今より力をつければいい…中原を護ってやればいい」
今回のように。
『…ん…ッ、う、ん…っ』
「そういえば…今回中原を連れて帰ってから、どうやって治したんだ?傷跡が一つもなかったらしい…が………この質問は野暮だったな。聞き流してくれて構わない」
この人のこういうところは嫌いじゃない。
あまり今は喋りたくないことだって分かってくれてる。
『……これ、全部食べるの…?』
「全部だ」
『…』
「…食べきったら中原のところで寝られるよう、俺からお願いしてみるから」
『…!…ほ、んとう…っ?……い、いいの…?私、が…中也さんと、寝ても…』
思わぬ提案に目を見開かせる。
「いいも何も…その方があいつも嬉しいだろ」
『……食べる…』