第22章 云いたかったこと
『そんなのになったところで何…っ、慣れてるわよそんなもの…』
「お前が苦しんでるのは皆辛い」
『辛いって何!?なんで辛いの!?痛かろうが苦しかろうが私の勝手じゃない…っ、水なんか摂らなくたって、食事なんかしなくたって、死なないの!!どうせ死なないの、分かってるの!!!』
「それでも辛い…親しい奴が苦しんでるところなんか、見たいわけがないだろう」
まだ親しいなんて言うの?この人は。
私に?なんで?
これだけめちゃくちゃなことを言っておいて?
これだけ色んなことを拒絶してて?
これだけ最低なことをしておいて?
『なん、でまだそんな…「“澪”…」…ッ!!』
「そんな悲しいことを言うな…お前の親も泣いてしまうぞ」
『…お、やって…会えない、んだから…そんなの…っ』
___澪さん…__
織田作のこちらを見つめる瞳が、どうしてもあの人と重なってしまう。
ああ、そういえば…最初は私、同じようなことで拒絶してたっけ。
その度に、今の織田作のような目を向けられて…私はどうにも、あの人のこういう表情に弱かったのを、よく覚えている。
『……そ…ん、なの…ッ…』
帰りたい。
なのに、帰りたくない。
思いっきりあそこに戻って、あの人に甘えて…ずっとずっと暮らしていきたかった。
ずっと、離れたくなんかなかった。
離れて、会えなくなって…そんな中でようやく出逢えた中也さんを、私は傷つけて、殺しかけた。
『………ね…なん、で…死ねないの…ッ?』
「…お前がこの先、ちゃんと幸せになるためだ」
『いらない…そんなの……っ、生きてたっていいことなんかないじゃない!!ただの疫病神じゃない!!!』
「誰に言われたんだそんなこと…誰が、お前をそんな風に思うか」
誰がって?誰もが思うに決まってる。
私がいなかったら、中也さんだって怪我しなった。
私さえいなかったら、あの人が血を流さずにすんだ。
“私”さえいなかったら…“あの人”が濡れ衣を着せられるようなこともなかった。
『だ、って…だって、だって…皆…っ』
私のせいで傷ついてきた…迷惑ばっかりかけてきた。
私のせいで…死んだ人だって。
「お前は利用されただけだろう、澪」
『!!…な、にを知って…っ』
「そして今回は、お前がいたから中原は助かった…相性が最悪だったんだ、寧ろお前のおかげじゃないか」