第22章 云いたかったこと
私が身体の筋力を取り戻してから任務に赴くようにもなると、私と中也さん…そして、私と太宰さんなんかもよく任務で組まされるようになってきた。
それもこれも、中也さんが異能を使ってまで私の身体を無理なく鍛えさせてくれたから。
「今日は…あ?これは…まぁたあの首領は蝶に能力を使わせたいらしいな……ったく」
『?どんなお仕事で「敵組織の残党狩りだよ、簡単に言うと…お前はあんまり能力使うなよ、殺すのも禁止。いつも通りにだ」…まだ力不足…ですか?』
「……そんなところだな。とりあえずそこんところは全部俺か他の奴らにやらせることだ…上司命令な」
『…はい』
こう言われると何も返しようがない。
任務に赴くようになってもう割と経つのに、いつもこう。
私には、とどめを刺させてくれない…何がなんでも殺させない。
上司命令だなんてものを使ってまでだ。
「よし、いい子…んじゃあ行くか!」
力不足…まだ足りないのか、私じゃあ。
まだ、貴方のためになれないのか…
銃だって、いっぱいいっぱいまた腕を磨き直して…ナイフだって扱えるようにリハビリして。
トレーニングだって…
扉を作って指示された場所へ移動して、敵組織の残党を討ちに行く。
私が気配の察知に優れているから、反応のある場所に銃弾を打ち込めば、相手から悲鳴が上がる。
それに合わせて中也さんが異能で押さえ込んでいき、とどめを刺して終了…いつものこと。
「チッ、こんな野郎共ならとっとと圧死させたほうが楽でい…ッ!?銃声!?」
だったのだが。
彼をめがけて飛び出してきた残党の仲間と思わしき人物が、銃を構えていたためその手をめがけて銃を撃つ。
「ぐあ…ッ!!?」
「さんきゅ、蝶!!助かった!!」
『!』
素直に嬉しかった。
褒められるだけじゃない、私でも、中也さんの役に立てたことが。
こういう風に言ってもらえるから、多少やり切れなさもあるのだけれど、任務は嫌いじゃない。
それに、何よりも中也さんは強いから。
そう…中也さん“は”、強いから。
「ちょっと大人しくしてようか、お嬢ちゃん?」
『ッ、ン…!?…、ん…っ』
能力を使うな、というのは、単純に壁を使わないようにということ。
あれをすると、私の血液が足りなくなるから。
しかし私は、満足感のせいで気付かなかったのだ。
自分の首にナイフが当てられてる事に