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第18章 縁の時間


悪いことにはならないから。
乱歩さんの言った通り、悪くならないどころか願ってもなかった奇跡が起きた。

多分本人もここまでは想定していなかったとは思うのだけれど。

中也に話さなければと思いながら隠してきた事を打ち明けて、思っていた反応とは裏腹に今までよりも優しくなったような…

「仲がよろしいようで微笑ましいね…………けど中也君?蝶ちゃん大人だけど今中学生だから、卵子ができた以上、ちゃんと避妊はしなさいね?」

私的な会話になる時に一人称が僕になるように、中也の呼び方もこうして変わる。
私の考えるところでは、ほとんどが軽口を叩いたり軽めのお仕事…所謂お願いをするような時の言い回し。

「ぶっ…!!?……し、しますよ、当たり前でしょう!?というかそもそも、今回のは蝶の方からお願いされて『?なんで焦ってるの??』純粋なままでいてくれ蝶、俺はその方が嬉しい…」

両手で耳を塞がれて、挙句の果てには胸元に寄せられて視界が中也で覆われる。
読唇術も使えやしない。

「いやまあでも、まさか二人がもうそこまで進んでいたとは…嬉しいような複雑なような……因みに子供は何人欲しいんだい?」

「!?い、いやそういう話はこいつと考えた事は…」

「けど中也君、あれだけいらないとか興味無いとか言ってたけど、本当は蝶ちゃんとの子供だったらそんなの関係なくってめいいっぱい可愛がりたいんだろう?」

「………俺は餓鬼なんぞに興味はありませんよ、やっぱり。でもまあ、蝶が欲しいと言うんなら…何人でも?」

「…ふむ、君らしい意見だ…しかし本当に今は蝶ちゃんにしか興味が無いんだねぇ?もしかして、この子の寿命の事とか体質の事とかも気にしてる?」

チラ、と中也に目を向けられて、それに首を傾げるとおでこに軽く口付けられた。

『!?…ッ!!?』

「そりゃ勿論。死んだ先もずっとついてますよ…あと何ヶ月かで殺させるだなんてことはさせませんし、俺が息絶えたあとに一人でまた寂しい思いをさせるつもりもありません。……だからこそ、子供っつうもんはやっぱり慎重に考えないと」

「……君、私に隠してることあるね?その言い方だと」

「バレましたか…すみません。何分、こいつが一番なもので………死んでも話せってくらいなら、俺は全力でこの組織を抜け出してでも話しませんよ」

「!はっはっは!いいよいいよ、分かってるから!」
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