第18章 縁の時間
何言ってるの、国木田さん。
余計な事しないで、私が子供なだけなのに。
身体的に思春期なせいなのかなんなのか、抑制がきかなくて溢れちゃうだけなのに。
能力を使って、すぐにあの場から抜け出した。
移動して、移動して移動して…結局たどり着いたのは元いた部屋。
とっとと寝た振りでもしてしまえ、無かったことにしてしまえ。
嫌なんだもん、頭ではそういうのじゃないって分かってるのに、私だけを見てくれないのが……私だけ、そっちのけで楽しそうにしてるのが。
布団に入って、頭まで被って出来るだけ端に寄って、目を閉じて唇をぐっと噛む。
子供だって辛いんだよ、嫌って感情を抑えるのなんか必死で、意識してなきゃすぐ嫌な子になっちゃうんだよ。
なのに、なのに見透かされたようなあんな事…言わないでよ国木田さん。
煽るようなことしないでよ、乱歩さん。
私、別に一言だって…頼んでなんてないじゃない。
中也が戻って来るのが怖い。
あれ、おかしいな、二人になりたいのが本心なはずなのに…ダメだダメだ、考えるな。
寝るの、寝て早く明日になるのを待つの。
それが一番…
「…………ッ、馬鹿野郎…っ」
一番…____
部屋の扉が開いたかと思えば、瞬時にフワリと暖かな腕に包まれた。
理解が追いつかずに、布団越しに目を見開いて今の状況を整理する。
『………何』
違う、そんな事が言いたいんじゃないの。
何言ってるの、私の馬鹿。
「…ッいきなりいなくなんな…心配、すんだろ…!」
『……いなくならなきゃ、心配してくれない?…そうじゃなきゃ、相手してくれない?』
「!?んなわけな____」
『___それなら、いなくなっちゃう以外に…どうすれば貴方に見てもらえますか?』
ふと漏れ出た言葉。
訂正するには遅すぎた。
頭の中がグルグルする。
何これ、違うのに素直になれなくて、思ってる言葉が口に出来なくて…気持ち悪い。
「蝶…お前…『ッ…離、れて……っなんか、頭気持ち悪い…』!…蝶?…っ!」
ガバッと布団を剥がれるも、抵抗することなく頭を抑えて蹲る。
気分悪い…何か、頭おかしい。
『ごめっ、なさ…酷いこと言って……ッ、そんな事思ってな………っぅ…』
「謝んな、何も悪い事してねえだろお前は!?…ッ、さっきの女医に…………首領に、連絡してみるか…?」
『!!…』
コク、と小さく頷いた