第18章 縁の時間
あれから結局詳しくは教えてもらえず、どこか私をそっちのけで話す三人を横目にクレープを食べていた。
「これだからあんた…蝶だっていい大人なんだからねぇ?」
「んな事言ったってどうしようもねえだろ…」
『……!あれ…?』
そこへ現れる、国木田さんと乱歩さん。
乱歩さんがアイスをまた食べたくなったらしく、こんな時間なのに外に出てきたらしい。
歩いてきてから私の目の前の席に座った乱歩さんと国木田さん。
「蝶ちゃんもいると思ったよ、ここのやつ美味しかったしね♪」
「まさか本当に白石までここにいたとは……それもまたすごい量のクレープだな?」
『え…ああ、はい。……美味しいですからこのクレープ』
「……?蝶ちゃん今美味しいって顔してないけど?」
「!乱歩さん…?」
乱歩さんの呟きは騒ぐ三人には聞こえてはおらず、こちら側にしか伝わってはいない。
『…いいの、ちょっと待ってればまたこっち来てくれるから』
「嘘つくな、確証ないんだろ」
『……仲がいいのはいい事だもん』
嫌なものは嫌だけれど。
部屋から出てこなければよかった、なんて思ったりして。
これならもう、いっそのこと疲れてもおかしくなっても、中也に可愛がられてる方がいい…愛されてる方がいい。
他の人ばっかり構っちゃうの、大嫌い。
こんなに簡単に嫉妬しちゃう自分が、もっと嫌い。
「嫌なものは嫌って言いなよ」
『言っていい時と言わなくていい時があるじゃない』
「だいたい君が我慢してる時は、前者の方なんだが____」
「____ポートマフィアの重力使い…貴様、今回の旅行はうちの女医と唐変木の相手をする為に企画したものなのか?」
誰も予想していなかった人の声が、はっきりとその場に響き渡った。
先程までなんやかんやで話し込んでいた三人もピタリと話すのをやめ、そちらに顔を向ける。
誰も……否、乱歩さんは知っていたのだろうか。
分かっていて連れてきたのだろうか。
「あ?んなわけあるかよ、たまたま手前らと同じになる羽目になっちまったからこうしてまた出会してんだろうが」
「新幹線での時からそうだ。白石の事について話に花を咲かせてしまうのは仕方ないだろう……だが、それならもう少し、ちゃんと隣にいる白石の事を見てやったらどうなのだ」
「!…蝶ちゃん?……あれっ、蝶ちゃんさっきまでそこに…」