第18章 縁の時間
「全く、本当に僕がいないと皆情けないんだから!特にそこの素敵帽子君?なんで君もういい大人なくせして蝶ちゃん困らせてんのさ?」
「またあんたはいちいちストレートに…」
「仕方が無いだろう、この子がどれだけこれで悩んでいたことか…あーあー、これだから脳筋は。結局僕と会わなかったら君、うじうじしてて最悪蝶ちゃんお風呂でもっと大変なことになってたかもしれないよ?」
『乱歩さんそんなに言わないであげて………じゃないと私のアイスの量大変な事になっちゃうから!!』
中也とジェラートを食べに来て、そこで乱歩さんに敦さん、谷崎さんと出くわした。
そこで先ほど乱歩さんと話したとかなんとか言っていた中也はゲッと顔を歪め、乱歩さんはそれを見てにこにこしている。
そこまでは良かったのだ。
問題はこの通り、乱歩さんが中也の事を煽り続けるところにある。
煽られる度に中也の心にグサリと刺さり、そしてそれが私を甘やかす事に繋がってしまうこの人は…
『落ち込む度にアイス積まないでよ!?こんなに山盛り積まれたって食べきる前に溶けちゃうじゃない!!』
「「あ、そっちなんだ、食べれるんだ」」
「!!そうか、それもそうだな…それならもういっその事あのサーバーごと店を買『ほんっとに落ち着いて、拗ねるよ』…クレープいるか?」
『…………いる』
同じ店で販売しているクレープに目をつけた中也に言われて、思わずいると返した。
大量のアイスを片付けていきながらもすぐに登場した甘い甘いにおいのするクレープ。
それを中也は受け取って、私の元へと持ってくる。
…自分で取りに行けるのに。
「ん、とりあえず一つ」
『…』
クレープを差し出す中也の手を見て、じっと見つめる。
「どうした?食わねえのか?」
『……あ…』
「!…スプーン貸せ」
中也の方に顔を上げて小さく口を開くと、私の意図を読み取ってくれたのか私からスプーンを取る中也。
それからアイスやクリームを掬って私の口に入れ、すぐにクレープ生地の端の方から食べさせる。
かなり恥ずかしいし普段なら絶対こんなお願いしないけど、今はまあ仕方ない。
平然としてるように見せかけようと必死だけど、動揺してるの丸分かり…
『…ん、美味しい……』
「……もう少しこっち寄れ。んで、ちゃんと顔見せてみろよ」
『!!………は、い…』