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第18章 縁の時間


開けろって事…?入れたいの……?
いつもなら口で言うか無理やり入るかしてくるのに、なんで今回だけ…

なんて考えている内にも息苦しくなってきて、酸素を取り込むついでにと小さく唇を開いた。
その時だった。

『ン…っ!?んッ……ふ…ぅ…っ!!』

ほんの少量だけ。
ごく微量の水が口の中に注がれて、そのまま中也さんの唇にまた塞がれる。

ちゃんと注がれただけの量をコクリと飲むと頭をポンポンと撫でられて、それにうっとりと目を細めた。

『ンン…ッハ……ぁ……っ…!』

すると再び、ほんの少しだけの水が注がれる。

飲まされて、飲み込んで…飲み込んでは私が嬉しくなるように、撫でてちゃんと抱きしめて。

大事にしてくれるこの人がやっぱり好き。
やっぱり大好き。

『ふ…ぅっ……はぁ…は、…っ』

「偉いぞ、よく飲んだ。今ので二百ミリ程は飲めただろ……吐き気は?どこか変なところに入っちまったりはしなかったか?」

『……ない…です』

キュウッと中也さんの浴衣を握りしめて、顔を俯かせる。
今絶対赤いから…恥ずかしい顔してるから。

まだ少しクラクラする頭は痛いけれど、しっかり腕で支えられているからか安心して身体から力を抜くことが出来る。

「…考え込ませちまったな…本当にすまなかった。……なんとなく、お前に今は触れちゃいけねえと思って、それで…」

『……分かってる…汚濁の時であれだったから』

「…カッとなっちまう性格だから誤解させちまうけど、本当に嫌になることなんかねえから。寧ろ嫌になるのはお前の方だろ…よく、一緒にいてくれた…」

少し震えた中也さんの声。
一緒にいてくれて感謝してるのは私の方だよ、中也さん。

貴方のおかげでどれだけ私が幸せか…どれだけ私が救われてるか。

『蝶は中也さんのものですから…中也さんも蝶のものですよ。勝手にどこか行っちゃったら……この地球、危ないかもしれません』

「お前がそうなると百億の賞金首が二人になっちまう上に最早人類に希望はねえな……大丈夫だよ、俺は一生お前と添い遂げるつもりだから」

『…さり気なくプロポーズくさい台詞ばっか使わないで、キザ中也』

「キザってお前な………唇、奪っていいっすか」

『さっき盗ってった人が何言ってるんですか。…………どうぞ?』

今度はちゃんと、愛を確かめるようなキス。
キス魔が戻ってきちゃったな。
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