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第18章 縁の時間


予想もしていなかった彼からの言葉に、思わず間抜けな声が出た。
それと一緒に目を丸くして、のぼせているせいなのか頭もよく回らない。

「さあさ、あの保護者がいればもう安心だ。多分蝶ちゃんの調子もじきによくなるだろ……というわけで僕は一足先にアイス食べに行ってこよっと!」

「え!?乱歩さんまだ食べるんですか!?」

「ほおら与謝野先生も!!食べるって言ってたでしょ!」

「ええ…あ、ああ?……乱歩さんが言うんなら大丈夫…なのか?…とりあえずまた気分が悪くなったり、水分がどうしても摂れそうになかったら妾に言いな」

嵐のような勢いで、一瞬にして全員が乱歩さんに引き連れられて行ってしまった。

ぽけっとしたまま扉は閉まり、中也さんが私の元に更に近付いてしゃがみこむ。

「…水、やっぱり飲めなかったか…零してる。……風呂ん中で失神すんな…ちっせえ頃に言っただろ。意識ねえまま湯船に顔が浸かってたら危ねぇか『…んで…』?」

『…なんで、私の事探したりなんか……一人でいたんじゃなかったの……?私の事なんか、考えなくても………』

「……頭ん中一旦ちゃんと整理して、落ち着いた頃にあの名探偵と出会ってな。色々聞いたし、お前の思ってくれてることもちゃんと聞いた…そんでもって、蝶がそれでも俺といる道を選んでくれてるんならって、とっとと踏ん切りつけてきた」

踏ん切りを付けてきた。
それは…つまりは、そういうこと。

『隠してたのに…?私、ずっと…九年も騙して…』

「騙しても何も、俺のためだろ…辛かったのはお前の方じゃねえか……それに俺が急いで戻ってきたら、そしたらそしたで今度は一人でバテてっしよ。……水、もう一回飲んでみろ」

『……今、いらない』

「…蝶……俺に触れられても平気か?…さっきも……俺は力馬鹿で加減すんのも下手だからよ…怖がらせたろ」

思わずビクリと肩が跳ねた。

怖くなかった…とは言いきれない。
強く拒絶されるのはやっぱり怖くて、それに相手が中也さんだったから。

『へ、いき……一緒にいてくれる…ならいい。私と、いてくれるんならい……ッ!』

少し身体を起こされて、そのまま柔らかく抱きしめられ、また優しい優しいキスをされた。
最初は身体が強ばってしまったが、それもいつものように安心して、緊張や色々なものが溶けていく。

しかし相手はこの人。
唇を舌でつつかれた。
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