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第18章 縁の時間


彼に聞いてみた。
どうやって…どんな所から侵入して、どんなシステムを破壊してあの部屋にたどり着いていったのか。

どんなアラートが鳴っていたか、どんな機械があったのか。

詳細に聞いていくにつれて、小さな私が薄々感じていた…そしてあの男によって突きつけられてしまった事実に行き着いてしまった。

『…そっか。うん、そうだよね…ちゃんとした方法でじゃないと、あの檻はまともに開かない仕様になってたから』

「……どういう事だ、ちゃんとした方法って」

『手順があったの、あの水槽から私を出すための。中也さんの思ってるように、私は中也さんが助けに来る前に死んで、この姿になってた…子供に戻ってからそんなに経っていなかった』

「あ、ああ…で、それがあの水槽となんの関係が『心臓部』!」

一つ、ゆっくりと息を吸って、声帯を震わせる。

『あれはね、何のための装置かって言うと……“水槽の中で私を殺すための”機械だったんだ』

「…………は…っ?……い、や…ちょっと、待て…言ってる意味が…」

『うん、待つ。ちゃんと待つ……いつまででも待つよ』

膝立ちになって、彼の首元に腕を回してギュ、と抱きしめた。
彼はそれで何かを思い浮かべたのだろう…私に腕が回されることはなく、彼の身体が震え始める。

「あの機械…心臓部……壊す前、に俺は……お前を助けてえんならって言いかけた野郎を一人殺した。………助けてえならって…お前……蝶、俺が行く前に殺されたって話……ッ!?」

『……大丈夫、今生きてる。ちゃんと生きてるから…学校にだって通って、普通に学生やって、恋だってして、家族も出来て、ちゃんと幸せに生きてるから』

「幸せって…な、んで……お前っ!!あの日……俺に……っ」

『うん……あいつが作った変な装置のせいで、中也さんに殺させちゃった。………ごめんなさい、散々甘やかさせておいて…巻き込ん「なんでそこでお前が謝る!?なんでそんなに冷静でいられる!!?」なんでって…』

「お前は!!!……っ、頭のいいお前なら、分かってたんだろ!?分かってて、ずっと怖がってたんだろ!!?はっきり言えよ!言ってくれよ…!……ッ俺が!!…殺したん、だろ……っ?」

うん、とも、違う、とも言えなかった。
直接ではないとも言い難いし、間接的といえばそうだけれど実行してしまったのは彼自身…それを否定するのは、何か違う。
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