第18章 縁の時間
「んで…なんで手前らがここにいるんだよ探偵社!!?」
「なんでって、仕事に決まってるじゃあないか。ついでに旅行でもしていこうと思っていたところに君達二人と乗り合わせただけだよ」
『たまたまって、乱歩さんともう一人くらいならともかく…なんでこんな大所帯に?』
新幹線に乗るところまでは良かった。
問題はそこからだ…指定席なのに隣に乗り合わせたまさかの奴ら。
探偵社の名探偵に女医、如何にも太宰の野郎に苦労させられてそうな真面目そうな奴、酔っ払った蝶が特別懐く谷崎兄に、人虎基中島敦とやら……そして青鯖。
「皆元々非番だったりで…大人組だけ内緒でね?」
「ぼ、僕と敦君も大人扱いなんですか?」
「なんだい谷崎?そんなに妹と一緒が良かったのかい?」
「そ、そこはまあ…でも今回はテスト前でしたし……って、蝶ちゃんと中原さんはどうしてここに?」
呼び方で察した。
あ、こいつ絶対ぇいい奴だ、絶対ぇまともな奴だ。
蝶が懐くのもまあ許そう。
『どうしてって、そんな……私の口からはとても…し、新婚旅行だなんて言えな「旅行だ、普通に」…中也のバカ』
「ああっ、デリカシーの無い男はこれだから…蝶ちゃんもうこっちにおいで?いっその事私の膝の上に!!」
「誰がやるか!!?手前にだけは有り得ねえだろこの人間のクズ!!」
『太宰さん嫌だ、そっち行ったら中也の機嫌直すの大変だから』
そこかよ。
いや、まあよく学習してやがる。
しかし立ち上がって探偵社側に移動する少女……ってあれ?おい、待て待て待て。
ちょこん、と国木田の向かい…名探偵と谷崎の間に入った蝶。
え、待て、何故そっちに行くあの仔猫は。
「ぷっ、中也嫌われてやんの」
「嫌われてねえよ!!!……ねえよな蝶!?」
『もっと大人な男の人を見習わなくちゃ…』
「え?蝶ちゃん、それはもしかして私のこ『太宰さんは人としてダメ』正に人間失格…ッ!!」
いや、誰の事を言ってるのかは明白だが…あいつのあれは大人っつうか、天然の間違いなんじゃねえのか…?
期限を損ねた仔猫の対処法とか聞いてねえぞ、教えていけや織田…!!
なんて葛藤していたのも束の間。
目の前にやって来た人虎と女医…どういうつもりだ?
「あんた、本当に分かってないねえ女の扱い方が…どれ、妾達が手助けしてやろうじゃないか」
ポン、と肩に手が触れた。