第18章 縁の時間
「今日はどこか出かけてえ所とかねえのか?」
『昨日散々人にしておいてよく言う…』
ソファーからムッとむくれた蝶が顔を覗かせる。
これはあれか、言わねえだけでやっぱりまだそうなのか。
「まだ腰痛い?気持ちよすぎて」
『な…っ!!な、っぁ…!!?……ッ、デリカシー!!!』
「仕方ねえだろ、本番いったらお前一番可愛いんだから」
サラッと言ってやれば顔から煙を出してソファーに埋めた蝶。
今回ばかりは俺の勝ちだな。
「まあ、やっぱり休みの前にしておいて良かったな。こっちはそこまで慣れてな__」
『____らでしょ』
蝶が恥ずかしがりながらも何かを声にした。
聞き間違いか?いや、それでも蝶がそんな…いやありえねえ事はねえんだが。
「…もっかい言ってくれるか?」
『!!だ、からっ……ちゅ、やさんが…あんまりしないから……』
「…………えっ、いやお前が辛いかなと…」
『それに最後までとか言いながら最後までしてないのも知ってる…私の身体なら大丈夫なのに』
確かに蝶の身体には卵子が無い上に、実験の中にも様々な精子とどのような反応をするのか調べたようなものもあった。
まあ結果としては、全て綺麗に消えてしまったのだが。
「あんまそういう言い方すんな…それに、まだ俺のやつでは試したことねえだろ?血液の時みたく、それでもし本当に何かが起こって……妊娠でもしちまったらお前、今はダメだろ」
『…卵子が無いのにどうやって妊娠するのよ』
「それはまあそうかもしれねえが…!蝶…?お前もしかして最後までしきってねえの気にしてたのか?」
『………別に……っ!?な、何…!?』
ふい、と顔を背けた蝶の元に行き、よーしよしと両手で撫でる。
「いやぁ、あんまり可愛らしいもんだからつい………して欲しかったんならそれでいい。けど蝶、それでもし身体に何か変化があればすぐに俺に言うんだぞ?それだけ約束だ」
『え…』
目を丸くして俺を見る少女。
まあ、あっさり許可を出したことに驚いているというのが妥当か。
「お前だって一人の女なんだから、俺だって抱いてやりてえよ」
『!!!?…はっ、恥ずかしい事ばっかかっこつけて言わないで中也さんのバカ!!!』
「でも好きなんだろ?可愛い奴め」
『よ、余裕そうなのムカつく…ッ!…ちょっ、今耳元禁止……っ』
「ははっ、楽しみはとっとくよ」