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第18章 縁の時間


「ん…っ……?…!!?はっ、蝶!?お前なんでんな抱きつい…!!?」

驚く程に密着した状態で目が覚めた。
懐かしい夢を見た……ような気がする。

ああ、ちゃんと今日も生きてる。
ちゃんと今日も、成長してる…

『んん…ッ……中也さぁ…』

寝たままおれの名前を呼ぶのはいい…さん付けが抜けねえのもまあ許そう、仕方ねえ。

だがなあ、俺はこういう成長の伝え方をされるとお前相手にゃ物凄くムラムラしてきちまうんですが。
分かってんのかこいつは、分かってやってんのかこいつは。

胸元あたりに大胆にも押し付けられるそれ。
いや違う、何を考えているんだ俺は、俺の言う成長はこっちの意味じゃなくってだな。

「…おおーい……蝶さん?あ、朝っすよ朝…ちょっと起きてくださると有難いんですが」

ムニ、と頬を指でつついてみると、可愛らしい声でう〜…とうなる蝶。
そして寝惚けているのかなんなのか、おれの指に擦り寄ってから…

『あ〜……ん…ッ♡』

「〜〜〜ッ!!!!?」

口に含んでペロリと舐めた。
無意識!?わざとじゃねえのかこれ!!?

ゾクリと刺激が背筋を走るのだが、それに耐えてもう片方の手で必死に蝶を起こそうとする。

「お、おい蝶!?起きろ、これはこのままだとまじで洒落にならなくなっちまう!!!起き……ッ…………蝶、朝だぞ」

一か八か、精一杯に大人ぶって格好つけて声にした。
どうだ、これが大人の余裕だ……じゃなくて。

優しくポンポンと頭を撫でると、蝶がうっすらと目を開く。

『…っ?……ふぅやは…ッ!?っっ!!?』

そして己が何を仕出かしたのかを察した少女は、恐る恐る口を開いた。
そこから指を抜き取って、それを目の前で舐めてやる。

「お前、俺の事好きすぎ……あっま…」

『〜〜〜ッッッ!!!!♡♡』

「うおおお!!?何急にまた抱きつい……っておい!?蝶!!?」

かああっとなって勢いよくまた抱きつく蝶に動揺する。
しかし本人的には恥ずかしかっただけなのだろう…単に照れている反応だ。

クス、と笑みが零れてから、また撫で始め、出来るだけ優しい声色を意識する。

「おはよ、蝶…朝だ」

おら、今の俺はもうこんなに大人ぶれるようになったんだぞ、なんて。
包容力のあるお前に見せたがりな、かっこつけたがりなだけなんだが。

全く、本当にどっちが大人なのか…
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