第12章 夏の思い出
「え、今のトウェインさんのだったの!?」
「しかも二発中二発とも当てて触手破壊するとか…」
皆のトウェインさんを見る目がまた大きく変わる。
この人、普段はおちゃらけてるしふざけてるし、どちらかといえば確かに馬鹿みたいな人だけど……こうなると勝てる人なんて少ないんだよなぁ。
『トウェインさんは本来遠距離専門だからね。皆に教えてただけでも凄かったとは思うけど、狙撃銃になると全然集中力も腕も違うから』
「蝶ちゃんが褒めるレベル…」
『誰が見ても分かるでしょ、この人殺し屋じゃないだけで腕はかなりのものだから。狙撃でここまで出来る人も珍しいんじゃないかな。うますぎて変態みたい』
「だからそれ褒めてるのか貶してるのかどっちなわけ!!?」
バッと反論するトウェインさんに褒めてるよとクスリと笑う。
ああ面白い、こういう反応一つ一つがまた、ジャンル立原の要素になる。
腕も立つし、その辺りだって本当そっくり。
何なんだろう、こうやって笑わせてくれるし…やっぱり安心出来るし。
「ち、蝶ちゃんが褒めてるとか……え、何、素直な蝶ちゃん心臓に悪いんだけど。中原君やめて僕と結婚し『今すぐここで実弾で撃たれたいですか?』冗談!!!」
調子に乗りすぎるから絶対に言ってあげないけど。
「み、見事な腕だ…どうだ、日本にいるうちはここで遠距離狙撃の指導でもしてみないか」
声を発したのは烏間先生。
この人から見ても相当な腕前だというのが分かるのだろう、じゃないとわざわざスカウトなんてしない。
「ええ!?だから僕人に教える柄じゃないんだって!!ていうかそれなら蝶ちゃんいるじゃん!!」
『私一応生徒なんだけど』
「蝶ちゃんが生徒……い、いや釣られないから!そんな事言ったって釣られないからね僕!!」
いったい何を想像したんだこの人は。
顔を赤らめて何かを否定するトウェインさんに首を傾げた。
「…蝶ちゃんの護衛兼ねられるならいいかもしれないね、それも」
『!……待ってトウェインさん、それならだめ、絶対やめて』
「嫌だよ、現にそれで二日間昏睡してたんだから」
雰囲気の変わるトウェインさんに図星を指され、ドキリとして何も言えなくなった。
鋭いところを突いてくる…だけどそれなら、尚更いけない。
「中原君と殺せんせーいなかったら今回、危なかったって分かってる?」