第12章 夏の思い出
『まあ、殺せんせーが射程圏内にいるっていうルールだったからですけどね』
「白石さんはとどめを刺す意志がないという事だったので…でも結局、最後は射程圏外に逃がさないように囲まれてましたが」
『そうでしたっけ?あんまり覚えてないです。楽しかったですよ殺せんせー!またお相手してくれません??』
「い、いいですが……先生も流石に疲れますんで、やるとしたら二週間に一回くらいで…」
本当に疲れきっているのだろう。
フラフラになってその場に倒れ込んで、殺せんせーは息を整えている。
『了解です…約束はちゃんと守りますね。“私は”二週間に一回、ですから』
にこりと笑うとえっ、と殺せんせーがピタリと止まる。
すると何かを察したのか、カルマ君が私と同じように笑顔になって、皆に指示を出し始めた。
『皆!殺せんせーすっごい疲れてるんだって!!今チャンスだよ!!』
「ニュヤ!?先生今疲れ…あああああ人数が一気に増え……!!!」
私の声に全員が同じような笑みを浮かべ、私以外が一斉に殺せんせーに射撃を始めた。
『ほらほら、殺せんせーが相手なら、殺すには“まず疲れさせないと”……ね?』
「お、鬼ですあの子…っ!恐ろしい……!!!」
「「「あ!逃げた!!」」」
シュバッとその場から殺せんせーは脱出し、屋根の上に乗ってこちらを見る。
「せ、先生だってね、やれば出来るんですよやれば!!こういう性能があるんです、君たちごときにこんなところでやられるはずが___」
言いかけたところで、触手が二本破壊された。
私ならともかく、皆の銃では届かないような位置の殺せんせーの触手が、だ。
皆それにざわめき始めて、どういう事だと混乱してはいるが…まあ、私はすぐに犯人が分かった。
「__さっすが蝶ちゃん、一時間BB弾の加工してまさか僕用のやつをいくつか作ってくれるなんて!」
『皆のおこぼれもらったとはいえ初撃で二本は健闘してるんじゃないかな』
「もっと弾数あったらやってるってば!!面白くないからって二発分しか用意してくれなかったの蝶ちゃんでしょ!?」
『でもスナイパーライフルじゃあマッハ二十相手に取れても四本でしょ、元々一撃で仕留める為の遠距離射撃なんだから』
それに二発で十分だったじゃない
言えばトウェインさんは何故だか私から顔を背けて、まあね!!胸を張るのだった。