第12章 夏の思い出
「ん?……え、飼い主…さん?」
『?中也さんは私の飼い主さんだよ。飼い猫みたいだーって言うし…いい子にしてたらよしよししてくれるの!それでいっぱいギュッてさせてくれてね!いい子だーって___』
「「「絵面が…っ!!!いいようにあしらわれてる!!!」」」
一斉に上がった声に首を傾げる。
トウェインさんに関しては思い当たる節でもあったのだろうか、苦笑いで確かにと納得している。
「蝶ちゃんがそうやって嬉しそうにしてるから、余計に中原君調子に乗っちゃうんだよなぁ…」
『中也さんはそれくらいがいいんだって。小さい時にこんな事って、あんまり無かったし』
トウェインさんの声にポロッと漏らすと、全員から意外だというような顔を向けられた。
『想像つかないかもだけど本当だよ、どっちかっていうと距離とってた方だから』
私から関わらなければ、何かない限り深入りなんでしょうともしなかった。
キスなんてものは当然だけれど以ての外で、頭を撫でたり抱きしめたりされる事なんて…
「どうりで蝶ちゃん、中也さんに褒められるの好きなわけだよ」
「でも飼い主って…なんていうかいかがわしい意味にしか聞こえな「岡島」すんません片岡さん!!!」
何故か片岡ちゃんに平謝りをする岡島君を不思議に思いつつも、中也さんを思い出してまたにやけた。
そして太股に手を当ててから___
「ニュヤああああ!!!!?…四、本…!!?」
瞬速で銃を撃つ。
『うん、大好き♪……あーあー、一本足りなかったなぁ。おかえりなさい殺せんせー!いい的になって下さいね』
そこまで言ってようやく何が起こったのか気が付いたのだろう。
皆が一斉に標的の方に顔を向けると、殺せんせーは破壊された四本の触手を再生させている最中だった。
「き、気付かなかった…いつの間にいたの殺せんせー!?」
『私が話してる最中にニヤニヤしながら紛れ込んでたよ』
「演技力…瞬発力、そして経験。それを人に悟らせないのもまたとない技術だ……白石さん、貴女本当は能力無くても先生の事殺せるんじゃないですか?」
『それは言い過ぎですって、それに私もう殺しはしてないんで。殺せんせーを殺すなら、どうしようもない状況になった時に頑張りますよ』
目を細めて笑うと、空気がひやりと冷たくなった気がした。
制限時間はあと四十五分だ。