第12章 夏の思い出
「そろそろ落ち着いたかよ」
『んー…まだ離れるのやぁ……』
「つってもお前、このままだと昼休み終わるぞ?せめて飯だけでも食えよ」
「我が物顔で言ってるけど、それ僕が買ってきたやつだからね?一応言っておくけど」
中也さんに抱きついたまま、宥められながらずっといた。
言葉で言われただけにとどまらず、まさかこんな風に贈ってもらえるだなんて思ってもみなかった。
なんて素敵な贈り物…
『三度の飯より中也さんがいい』
「分かってっけど流石にトウェインが可哀想だから食ってやれ……ってそういやお前…」
『ん……にゃ、ッ!!?』
突然、中也さんに項を手で摘まれた。
ビクリと身体を震わせて、中也さんの膝の上でぷるぷると震えつつも刺激に耐える。
「ここまで出てきて、上に登って……お前まだまともに立てなかったよなァ?おい」
『ひ、ッ…ぁ、それは多分愛の力で「能力使いやがったなお前!!?」~~~ッッ、ハ…ッ、やぁっ、だ……ぁ、ッ!!』
体を縮こめて精一杯逃れようとするも、全力で中也さんは首筋をなぞりにかかってくる。
強すぎる刺激に肩をビクビク跳ねさせて、身体をよじる。
……地味に弱い所を的確にいじるようになってきた。
『ぁ……ッ、ぅ…あ…ぁ……ッ』
「何が愛だこら、動くなっつったろがこの馬鹿」
『ら、って…ちゅ、やさんがぁ……っ』
「うわ、鬼だね中原君。学校でスイッチ入れるとか可哀想に…ていうか夏休みに何してたわけ?流石の蝶ちゃんでもここまで感度高くなかったでしょ」
項をスリスリと撫で始める中也さんの指。
あ…これ、好きなやつ……
『ふ…ッ、ぁ……』
「そこはまあ…企業秘密ってやつだ。可愛らしくなったもんだろ」
「あーあー、完全に仕込まれてるじゃん。前より懐かれてない?」
中也さんの指が離されて、大きく肩で呼吸を繰り返す。
『ハ……ッ、ハァ…』
「撫でてやるくらいなら嫌とも言わなくなったなもう」
『ん……っ、言わなくなった…』
「分かった分かった、偉いぞ」
顔を埋めるようにギュ、とすると、両手でいっぱい頭を撫でられる。
たまらなくこれが好き…中也さんに褒められながら撫でてもらえるの、好き。
「何お得意のやり方で手懐けてんのさ!?」
「仕方ねえだろ、可愛いんだからよ」
「確かにそ…じゃないから!?もう開き直ってるよね君!!」