第12章 夏の思い出
「ひっどいなあ!!蝶ちゃん撃たれて出血多量でやばかったって聞いたけど、マフィアの医務室じゃ入れないし探偵社に行ってもまだ意識がって追い返されるしー…やっと中原君から連絡もらってここに来たんだけど」
『血の方はまあ…なんとか』
「本当だよもう、聞いた時本当焦ったんだからね!?はいこれ、お土産のショートケーキと途中であったからご当地駅弁!」
「駅弁って、なんていうかお土産のセンスがやっぱり外国の……って、駅弁?」
袋の中身を確認すると、ちょうど駅弁が三つ。
立原とも会ってきたらしく、そっちの方にも渡してきたとか。
思わぬところでなんという収穫、今日の立原ズは何かが違う。
『な、なんて良いタイミング…!トウェインさん今までの中で一番輝いてるよ!!』
「うん、蝶ちゃん相変わらず……うん」
少し嘆いたような素振りを見せ、少ししてからそういえば中原君は?と首を傾げられる。
『え?外にいたんじゃ……そういえば全然気配もしな…っ?と、トウェインさん、外で戦闘とかしてた?それでなくとも殺しの痕跡とか…どうしよう、中也さん変な事に巻き込まれてないかな!?』
祭の時だってそうだった。
私に詳しく話さずに勝手にソラさんを問い詰めに行って…結果、たまたまとはいえ気付かずに殺されかけてた。
あんな猛毒、それこそ私じゃなかったら即死だったはずだ。
『早く行った方が……!』
手を出したところでトウェインさんにパシ、と腕を取られる。
それに振り向くと落ち着いてと返された。
「能力使うのが一番拙いんじゃないの…あれだけ頑丈な人だ、大丈夫」
『で、でも昨日だって殺されかけてッ』
私の一言にカルマ君以外の目線が刺さる。
「それも聞いた。でも一回そんな事があったんなら警戒心は強まってるはずだし、あんな滅茶苦茶な異能に勝てる奴なんかいないって…とりあえず電話でもかけてみなよ。もしかしたらどっか勝手にほっつき歩いてるだけかもしれな____っっ!!?」
『ええ!?トウェインさん!!?』
私の腕を取っていたトウェインさんが、突如物凄い勢いでガクッと膝から崩れ落ちた。
「手前、ちょっと目ぇ離した隙に人の蝶にベタベタと……」
私の腕を離したトウェインさんも私も、何が起こったのか分からないで頭を真っ白にさせている。
「効いたろ……膝カックン」
「「『え…』」」