• テキストサイズ

Replay

第12章 夏の思い出


結局昼休みに入るまでは半日あれからぼーっとしていて、中也さんがここに入ってくるといったようなこともなかった。

私が考えてたのはただ一つ、親ってどんな人なんだろうということ。
イメージとしては、今の所フランシスさんみたいな人がそうなのかなとか考えたりもする…肉体的な歳的にもだいたいはそれ位なんじゃないだろうか。

まあ色々と考えてみれば、今になってようやく分かった絶対的な信頼というもの…何があっても大事に思ってくれるものだという勝手な期待。
そのようなものを感じて真っ先に全てを出しきった、懐かしいあの人こそそんな感覚だったのかもしれない。

だからこそ心を開けたのかもしれないし、全部打ち明けることが出来たのかもしれない。

白石蝶の名付けと育ての親は確かに中也さんで、普段からそんな素振りや親バカ的行動なんかもありはするのだけれど……

しかしあの人は、やはりどう考えても好きな人なのだ。
運命的な何かが働いたのだとさえ思えるような…気が遠くなるほどに年月を重ねてきて、初めて私が認めた人。

初めて、私の身体が力を貸した人。

愛しくて、比べてはいけないものなのに、何よりも大切なのだと絶対的に思ってしまう人。

____親っていうのとは、ちょっと違う。

「あれ、蝶ちゃん今日お弁当は……って、今日の朝に意識戻ったんだっけ?」

『へ?……あ、ああうん…そうだね、お弁当忘れてたなぁ。中也さんの分も用意出来てないだろうし…本校舎の売店ってまだ何か売ってるかな?』

「え、今から山降りて売店行くつもり!?俺の半分あげるから大人しくしてて!!?」

『でも中也さんの分も無いし、カルマ君にも悪いし…』

ここにきてようやく頭が回ってきた。
そうだ、今日はお昼が無い。
私は別にそれでもいいけど、中也さんまでそんな事になっちゃったら大変な事態だ。

どうしたものか…
頭を悩ませていたそんな時、教室にまさかの来客があった。

「おっ邪魔しまーーーす!蝶ちゃん元気になったって聞いたから差し入れを……って車椅子!?本当にそんなやばかったんだ今回!!
?」

突然入ってきたハイテンションな声。
聞いた途端に煩いと反射的に返しそうになる騒がしさ。

けれど声を聞いたら嬉しくなる、そんな人。

『トウェインさん!!』

「あ、キスの人だ」
「白石の敵、即ち俺らの敵」

皆からは不評らしかった。
/ 2703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp