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第12章 夏の思い出


「白石さん…!!!無事で本当によかったです!!!」

『そんな大袈裟な…泣かないでくださいよ殺せんせ……痛、いっ!!』

ペシペシと、中也さんと立原から手刀を落とされる。

「何がそんな大袈裟なだてめえ、死にかけといてよく言うぜふらっふらのくせしやがって」

「どこが大袈裟だ?ああ?お前今度同じような目に遭ってみろ、ショック受けて担任が死ぬぞ。ついでに俺も」

『さり気なく中也さんまで死なないでよ!?…っ、だから痛い!!』

地味な刺激に遂に手が出た。
しかしそれを上げておくのもまだ少し辛かったため、すぐに下に下ろしてしまう。

「ほら、しんどいなら大人しくしとけ。本来なら授業なんか絶対ぇ受けさせてやらねえんだぞ」

今日なんか背もたれねえとしんどいから髪だってくくってやれてねえのに…と嘆く事によって、全てが台無しになった。
え、そこ?中也さんそこが一番大事なの?

『下ろしてるの、嫌?』

「もう無理お前、何なんだよ。可愛すぎて無理、嫌」

『出た親バカ…』

中也さんの反応に何かを察してそれ以上聞かないことにした。
しかし何か気に入らない事があったのだろうか、中也さんがガシ、と私の頭を片手で掴む。

立原や殺せんせーは何か分かっているのか、早く謝ったほうがいいと騒ぎ始める。
職員室で何故か命の危険を感じた。
え、何中也さん、なんか容赦なく手に力入れてくるんだけど。

『い、た……っ、痛い中也さん、何でそんな怒って…ああああ…!!』

「いい度胸してんなお前、夏休みに散々教えこまなかったか?それともまさかいじめられてえのかお前は、そうかそうか、そういうことか」

『待って!?本気で痛……ッ、頭割れるこれ!馬鹿になるから!!?』

「とっくに手遅れだっつのこの野郎!!!何が親バカだ、何が!?ちったぁ察しろいい加減に!!!」

わけ分かんないと言いかけてやめておいた。
流石に命の危機を感じた。

『い、いいもん!痛くするんなら中也さんと今日一緒に寝な…意思弱くない中也さん!?』

すぐさまパッと手を離された。
こういう事するから親バカって言うのに。

「お前俺以外の誰と寝るつもりだよそれ!!?」

『一人に決まってるでしょ、馬鹿なの中也さん!?それ以上変な事言ったら立原と寝るから!!!』

「俺に振るんじゃねえ俺に!!」

中也さんがピシッと固まった気がした。
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