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占い師の憂鬱【デュラララ‼︎】

第1章 慇懃無礼


「可哀想?」
それを聞いた男の目が光る。
卑しく、卑しく。
臨也は人の悪い愛想笑いをさらに深めてその男の顔を見据えた。
男は何かの枷が外れたかのように物凄い剣幕でまくし立てる。
「彼女は可哀想なんかじゃありませんよ。あんな才能を持って生まれてきたんですから。生まれて何も才能を持たない凡人と比べたらどれだけ幸せなことか。その幸せな才能をせっかくいかしてやる場を用意してやったのに逃げたのには驚きましたがね。子供の反抗期でしょうすぐに捕まるは……すみません、取り乱しましたね」
あれほど大人しそうな大人がここまで息乱して喋るのも滑稽だ。
よほど、あの少女に思い入れがあるらしい。
「いえいえ、構いませんよ。……では、よほど潤っているとお見受けしますが」
あなたが彼女を利用して刮ぎとっているであろう大量の資産。
「まぁ、それなりには」
男は差し出されたコーヒーを口元に運びながらこちらを怯えにも似た警戒心を持って睨んでいる。
「ま、引き受けましょう」
両手を組んで前のめりになって、男の前で言い放つ。その双眸は獲物を見つけた獣のような目をしていた。
依頼主の男は、得体の知れないその男を警戒しつつも仕事相手としての信頼を置きながら告げる。
「ありがとうございます。では、私はこれで」
そう言って、男は姿を消した。
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