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占い師の憂鬱【デュラララ‼︎】

第3章 応接不暇


池袋の街にて

いつものように借金を取り立てに向かう道すがらトムは静雄に問いかけた。
いや、回り回って言うのならば静雄の後ろをそっと付いている女の子にと言ったところか。
年は高校生くらいにみえるが、その表情は何故か幼さを感じる。
「結局誰だ?そのお嬢さんは」
昨日はなんやかんやで問いかけられず仕舞いだったが、今度こそは知りたい。
そう聞けば、静雄は些か表情を歪ませてどう答えればいいのか悩んでいるそぶりに見えた。
「ああ、トムさん。えーと、何て言ったらいいのか……こいつ、名前がないんす「あるよ」」
突然聞こえた声に、静雄は目を見開いて声の主を振り返る。
聞き覚えがある。
胸の底から湧き上がる胸糞悪い感情の波に、心がどんどん黒に染め上げられていく。
まるで、あの男の風貌に伝染されてゆくかのように。
そこには、あの貼り付けた笑みを浮かべる折原臨也が立っていた。
「その子の名前はね、楓って言うんだ。ようやく見つけたよ。シズちゃん、その子をこっちに渡してもらえるかな?」
その双眸は生々しく前を見据えている。
「楓……?」
その名前を酷く懐かしく感じた。
私が大嫌いだった私の名前。私の名前を呼ばれるたびに私は私ではなくなっていった。
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