• テキストサイズ

占い師の憂鬱【デュラララ‼︎】

第2章 合縁奇縁


それ以上の詮索は気を使って、多少訝しげな顔をしながらも次の話題に移ることにした。
「で、なんで倒れてたんだよ」
ぽつりぽつりと、話をしだす。
「……ある人を、止めたくて。家出してきたら、お金を持っていなくて。ご飯が買えなくて……三日くらい何も口にしていなかったら、倒れてました」
私が、いかないと。
早く、あの人を止めないと。
そう思って必死にある人の居場所を探し回った。でも、どこを探してもいなかった。走って走って、走っても何処にもいなかった。
「倒れてたって……。仮にも女なんだから、その、もっと体とか大事にしねぇの?」
「……私は、別にどうなっても構いませんから」
少女には、自分の存在に対する執着が著しく欠如していた。
己の存在を己から消したということ。
それはすなわち、己への興味を完全に無くし代わりに他者に己の身を移すようになったということ。
故に、彼女は自分がどんな痛い目に合おうが辛い目に合おうが彼女に降りかかる災厄として認識をしない。
彼女が認識するのは他者を通しての己の姿だけだった。故に、感情も酷く乏しい。自分の為に動かす感情を知らなかった。彼女は、人のためにしか生きられない歪な少女。
自分とは違い、物語の中で生きている人間を愛してやまないのだろう。
ただあるのは、食欲、睡眠欲……性欲はまだ意識したことはないが。
それくらいのものだった。
/ 19ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp