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占い師の憂鬱【デュラララ‼︎】

第2章 合縁奇縁


少女は正座をしながら隣で表情一つ崩さないサングラスの男の顔を伺い見る。
そして、少女は思った。
この時間は酷く気まずい。
ああ、どうしよう。
いきなり初対面でしかも行き倒れててあった途端にお腹鳴らした女の子なんて絶対に変だと思われてるよ。
恥ずかしい、死にたい。
ちら、と横にいる男の顔を覗き見ると、目が合ってしまい慌ててそらす。
どうしよう、占い以外で人とまともに話すことなんてほとんどなかったからこういう時にどう話をしたらいいのか分からないしそもそも自己紹介もしていないんだけれどこれは失礼に値しないのだろうか。
ウジウジ考えていると、男の方が先に痺れを切らしたらしく話しかけてきた。
「おまえ、何であんなとこに倒れてたんだ?」
やっぱり、自己紹介から始めよう。
あ、でも。
「私、私の名前すら覚えていないんだった…」
「……?自分の名前、分かんねーの?」
呼ばれる名前は、多分持っているだろうが忘れることにした。
だれも、私を名前として呼んでくれる人はいなかった。
故に、彼女は己の存在を己から消した際に己の名前すらも忘れてしまった。
それを、寂しいと思うのだろうか。
だが、現在自分の名前を求めてくれる人を目の前にして自分の名前がないことに少しの虚無感を覚えていた。
「分から、ないです」
ったく、調子が狂うったらねぇ。
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