第6章 仲直りのごめんねって中々言い出せない
どうにかして仲直りがしたかった。
正直言っていつまで怒っていたって仕方がない部分もあると思う。
もう過ぎたことをうだうだ引きずりたくはないし。
そんなことよりも、もう話せなくなってしまうことのほうが嫌だと思った。
「……俺には金輪際頼らないんじゃなかったんですかィ?」
「……頼ってません。沖田さんと、一緒に行きたいだけです」
そう言えば、その大きな目を見開いて固まった沖田さんが見える。
また、何か言ってはいけないことを言ってしまった気がする。
でも、口から出た言葉が戻るわけはなく。
沖田さんはそのまま背を向けて襖へと手をかけてしまっていた。
ああ、仲直りがしたかったのに。
俯いた途端、気怠げな声が降りかかる。
「何してんでィ。早く準備しねぇと置いてくぜィ」
「……え?」
「買い物するんだろ?……仕方ねぇから付き合ってやらァ」
耳が仄かに赤くなっている。
照れてたのかな。
顔は合わせてくれないけれど、胸がとても暖かくなった。
「……ありがとうございます」
そう返せば、ぶっきらぼうな相槌で今度こそその場から離れてしまう。
私も急いで準備をしなきゃ。
そう思い、立ち上がればまだ近藤さんにお礼を言っていなかった事に気がついて慌てて頭を下げる。
笑顔で見送る近藤さんに感謝の気持ちを抱きながら、私達は夕方の江戸の町へと繰り出すこととなった。
ごめんねは言えなかったけれど、側に居られること自体に純粋に安心した。