第4章 道案内で道を間違えられることがあるから気をつけろ
それならそんな回りくどいことをしないで素直に聞けばいいのに。
「終始笑顔を絶やしませんでしたよ。不思議な子ですね……笑顔を見て心配になる子を初めて見ました」
だいたい察しがついていたかのようにわざとらしい溜息を漏らす沖田隊長。
「昔からそうなんでィ。人には絶対に泣き顔とかを見せないで笑顔でいようとする。そのくせ泣き虫ですぐバレるし隠れて夜中に啜り泣く声が聞こえてくるから、本当馬鹿だ」
「……沖田隊長、いいんですか?本当のこと言わなくて」
「……今更、言えるかよ。あいつにこれ以上辛い思いさせてどうしろってんだ」
「辛い記憶って……何かしたんですか?」
「……幸せな時間ほど、毒になって一生体に突き刺さるもんでィ」
「……?」
やはり俺にはよく分からない。
その無表情に一体どんな感情が隠れているのか。
きっと、それを知ることなんて俺には一生をかけても無理なことなんだろう。