第4章 道案内で道を間違えられることがあるから気をつけろ
「そうですか…いえ、ありがとうございました。すみません、いきなり変なことをお聞きしてしまって」
「いや、気にしないでいいよ」
少し寂しそうに笑う横顔。
それでも、必死にこちらに心配をかけさせないように振舞っているのが痛いくらいに伝わった。
その後も、案内を続ける。
ずっと笑顔で話しを聞いてくれたけれど、胸の中ではどんな気持ちでいるんだろう。
俺が、しっかりしなきゃ。
さっきまでは嫌々引き受けた仕事に、いつのまにか入れ込んでいる自分に気がついた。
そして、少し理解した。
ああ、自分も大概過保護なのかもしれない。
「説明はこんなところ。女中さん方も仕事は明日からでいいっていう話だし、今日はもう休んでいいよ」
「はい、本当にありがとうございました!」
数回お辞儀を交わした後、少女は活発な様子でその場を去っていく。
そして、背後でゆっくりと近づく影が一つ。
「ザキィ、お前後で切腹しろィ。仲介は俺がやってやりまさァ」
すぐ後ろで物騒なことを口走った沖田隊長の声に背中じゅうに冷や汗が再び蘇る。
「いや、なんで!?俺なんか変なことしましたか!?」
「いや、気分」
「ふざけんなよ!!気分で切腹って横暴にも程がありますよ!
」
「……で、楓は?」
やっぱりそっちが聞きたかったのか。