第2章 人の顔と名前って大体一致しないことが多い
「隊士たちには無理矢理でも聞かせてやりゃいい。もし変な気をおこす奴がいるなら俺が粛清してやらァ。だから、俺からも頼みます。楓をここに置いてやってくだせェ」
「沖田、さん……?」
なんで、この人は。
土方さんに頭を下げて、沖田さんは一緒に頼み込んでくれる。私もつられるように頭を下げた。
そんな沖田さんの姿に土方さんは瞳を薄めながら、やがて諦めたように嘆息した。
「……まぁ、仕方ねぇな」
「うむ……分かった。考えてみよう。まぁどちらにしてもその体調が治らない限り無理な移動はさせないつもりだったしな!十分に体を休めていってくれ」
「……っ!ありがとうございます!」
地面につくほどに頭を下げる。
対する沖田さんは下げていた頭を戻してじっと土下座する私を見下ろしていた。
「……総悟、俺たちぁもう行くがてめぇはどうすんだ」
土方さんが沖田さんを一瞥する。
「俺は、もう少し話したいことがあるんで。ここに残りまさァ」
「あんま長居すんじゃねぇぞ。休ませてやれ」
「分かってまさァ」
そう言い残して、二人は襖を閉めてどこかに行ってしまった。