第1章 あの日から
妖怪達がりんの場所に到達する前に、殺生丸が全て倒した。
殺生丸は襖を勢い良く開けた。
中にはりんが倒れている。
近寄って、りんを起こした。
りんは気を失っているだけだった。
「殺生丸。貴様人間が嫌いではなかったのか。人間のことなど、虫けらとしか思ってはおらなんだのか。」
殺生丸の背後で美鈴が言った。
「黙れ。」
ドシュ!!!
殺生丸はりんを抱いたまま、美鈴に向けて毒華爪を放った。
「……んっ…」
殺生丸に抱かれていたりんが目を覚ました。
「せっしょう…まるさま…」
りんは殺生丸が助けに来てくれたことを理解しほっと微笑んだ。
「随分と優しくなったな殺生丸。昔のお前とは大違いだぞ。そう…お前は以前は人間を虫けらぐらいにしか思ってはいなかった。私の夫も…お前によって無残にも殺された。」
美鈴は憎しみを込めた瞳で殺生丸を睨んだ。
夫…?
りんは、美鈴の言葉に殺生丸の顔を見上げた。
「お前を殺して夫の仇を取り、そしてお前の天生牙を使って夫を蘇らせる!!!!!」
ドシュ!!!
美鈴は二人目掛けて破魔矢を放った。
殺生丸はりんを抱き上げて、城の外へと飛び出した。
トン…
りんをゆっくりと、地面に降ろした。
「…隠れていろ。」
殺生丸はりんにそう告げると、先ほど城から放り投げられて、地面で気を失っている邪見の頭を蹴った。
「起きろ、邪見。」
「…ふごっ?!せ、殺生丸!!りん!!」
「りんを連れて隠れていろ。」
殺生丸はそう言うと、再び美鈴の元へ向かった。